※ピンクラインはAGです。
2017年12月の製剤ポイントを総括してみた!
【新規格】
クレストール →ロスバスタチン10mg(高田製薬、東和薬品)
クレストール →ロスバスタチンOD10mg(東和薬品)
ファムビル250mg →ファムシクロビル500mg(小林化工、第一三共エスファ)
【新剤型】
アバプロ・イルベタン錠 →OD錠化:イルベサルタンOD錠(東和薬品)
ディフェリンゲル →クリーム化:アダパレンクリーム(ニプロ)
テモダールカプセル →錠剤化:テモゾロミド錠(日本化薬)
新剤型や新規格が続々と発売することで、使用する患者さんのためになることであれば現場サイドから見ても大変喜ばしいことです。
また東和薬品が一部の製剤(オルメサルタンとロスバスタチン)で日本初の医療用医薬品の錠剤に2色印刷を施すのも2017年12月の製品からです。こういった企業努力は継続していって欲しいところです。
AG旋風が吹き荒れる予感!?
来月(2017年9月中旬)にロスバスタチン(クレストール)、オルメサルタン(オルメテック)のオーソライズドジェネリックが発売されることが発表されていますが、12月はさらにAGが発売すると予想されています。
イルベサルタン(アバプロ/イルベタン)
モメタゾン点鼻液(ナゾネックス点鼻液)
セフジトレンピボキシル小児用細粒(メイアクト小児用細粒)
ドルモロール配合点眼液(コソプト配合点眼液)
AGという言葉の周知も日に日に進む中、先発メーカーも特許が切れてジェネリックメーカーにタダでやられてのを指を加えてみているぐらいなら、AGを発売して少しでも売上の減少を食い止めようという流れに完全に変わりつつあります。
メーカーの垣根を越えて、第一三共エスファがAG製造販売を担う
なぜなら、第一三共エスファがミカルディス、ミカムロ、ミコンビ、オルメテック、クレストールのAGを一気に発売し、さらに第一三共エスファはメーカーの垣根を越えて一手に製造販売を行うというのは業界内に大きなインパクトを与えました。
先発名+製造販売メーカー | AG+製造販売メーカー | ||
ミカルディス | アステラス製薬 / ベーリンガー | テルミサルタン | 第一三共エスファ |
ミカムロ | アステラス製薬 / ベーリンガー | テラムロ | |
ミコンビ | アステラス製薬 / ベーリンガー | テルチア | |
クレストール | アストラゼネカ / 塩野義 | ロスバスタチン | |
オルメテック | 第一三共 | オルメサルタン |
この潮目でさらにさらにAGのスピードは加速していくでしょうし、各メーカーもAGに対して抵抗感がなくなっていく?というか、AGの発売をしなくてはいけない?!という雰囲気に感じます。

追っかけジェネリックメーカーはどこを目指す?
追っかけジェネリックメーカーは本当に大丈夫なのか?
先ほども書きましたが、ロスバスタチンは9月にAG「DSEP」を先行発売し、追っかけで12月に25社が発売します。ご存知の通りAGというのはメーカー公認ジェネリックです。
追っかけジェネリックメーカーには勝機はがあるのか、個人的には負け戦ではないのかとしか考えられない状況ですが、今回も多くのメーカーが発売しようとしています。(上記資料は承認申請です、上市するかはまだ分かりません。ご注意ください。)
当たり前ですがジェネリック発売後のポイントは、「先発品市場をいかに獲得できるのか」です。
過去に発売されたAGの実績を見てみると、あすか製薬が2014年から発売したカンデサルタン類(カンデサルタン、カムシア、カデチアを含む)は2016年度売上実績は12,748百万円です。
沢井製薬が14年6月・12月収載(カンデサルタン、バルサルタン、ロサルヒド、レボフロキサシンなど)の実績では2016年度3,141百万円です。
種類も品目数も違うので基準にはなりにくいですが、あすか製薬はカンデサルタン類だけで120億円のシェアを持ち、一方、沢井製薬は2014年に多くの品目を発売したけれど売上合計で30億円という結果がでています。
将来的な目線で、AGと追っかけジェネリックを考えると
AGが発売するとシェアは歴然たる差がついています。シェアが獲得できないメーカーは販売を継続してくれるのでしょうか?一般論で考えれば大変厳しい状況でないかと思います。
個人的なAG発売後のシェアイメージですが、
先発品:35~45%
AG:50~60%
追っかけジェネリックメーカー全社合計:15~25%
といった割合なのではないでしょうか。。。
ちなみにランチェスターのマーケットシェア理論にこの予想を当てはめてみると、AGは「安定目標値」以上をクリアしますし、「拠点目標値」から「存在目標値」を達成できるメーカーは沢井製薬や日医工といった上位メーカーだけだと思います。
数年前までは、有効的な手立てとして考えられてきた、OD錠、錠剤への印字、シートや外箱、識別、ピッチコントロールなどのいろいろと工夫がなされシェアを獲得することもできました。
しかし、その工夫も全メーカーの最低基準としている時代へと突入し、さらに強者であるAGも同様工夫を付け加えるようになっていきました。選択肢が多い(20社~30社)はずなのに、結局どれも同じという現状です。
となると、目先の利益=仕入れコストが最も安いメーカーか、もしくは、中長期的に情報提供と安定供給が担保されるAGを選択するかの2択といえます。
2017年12月の新製品も6月発売だったテルミサルタンやアリピプラゾール同様に追っかけジェネリックメーカーは価格優位なPRに特化するでしょう。だけど結局AGが一番シェアを獲得することは紛れも無い事実でしょう。なんとも打開策がまったく見えない追っかけジェネリックメーカーは益々疲弊していくトホホな状況が続きそうだ。