製薬業界にある程度のキャリアがあれば、新薬と後発メーカーが提携したって!!!ビックリした人もいるのではないでしょうか。武田薬品からすれば、テバが持つ大洋薬品の工場でパンスポリン注の事件問題もあったのにも関わらず、ただの戦略の提携だけではなく、合弁会社まで設立させるという、完全に新たなメーカーで武田薬品は国内市場を狙うという話です。さらに、この合弁会社の出資比率はテバ製薬が51%、武田薬品が49%ということなので、武田が主導権を取れなかった・・ということもかなり驚きです。
ちなみに、両製薬メーカーをおさらい
武田薬品
- 売上:1兆7250億円
- MR数:2300人
- 主力製剤:ブロプレス、リュープリン、タケプロン、アジルバ、エンブレル、ネシーナ
- 国内製薬メーカー売上一位
テバ製薬
- 売上:2兆1000億円(テバファーマ全体)
- MR数:200人前後
- 世界ジェネリックメーカー売上1位
ご存知の方も多いですが新薬の武田薬品よりも売上規模の大きいテバ製薬です。規模からすれば合弁会社での主導権をテバが握る交渉ができることも自然なのかもしれません。とはいえ、日本国内で新薬と後発とで主導権が取れなかったというのは驚きです。それにしても、ジェネリックで2兆円規模ってテバという企業は巨大すぎですね。
テバというと、どうしても大洋薬品を買収した企業、買収後も商品の品切れや製造中止で医療現場の混乱を改善できなかったというイメージが定着して、一定の医療関係者からは距離を置かれてしまった感はあります。そういった悪いイメージを武田の営業力や企業イメージで一気に挽回させたいのでしょう。
武田も主力製剤のほとんどが特許切れを向かえ、ジェネリックに食いつぶされる前になんとかしなくては!!!ということで、テバとの提携に踏み込んだということなのでしょうね。。
あとは、テバと武田の関係は近年は良かったのだと思います。多発性硬化症治療剤コパキソンでの製造販売提携で武田薬品が担っていたりもするわけですし、これから発展する内容や戦略は次々にでてくるかもしれませんね。
国のジェネリック路線がさらに加速する中で、武田の戦略がこうも大きく舵をとったということはこれから他の新薬系のメーカーの動きも気になります。それにグループのあすか製薬はどうするのでしょうか?カンデサルタンのAGはあすか専売でしたし、さらに、さらに、あすか製薬はアクタビス(後発世界6位)と提携しています。これからあすかの後発事業との発展は無いと考えたほうがいいのでしょうかね。
主な新薬メーカーと後発メーカーの合弁会社出資割合
- テバ製薬=武田薬品=テバ製薬が51%、武田薬品が49% 出資
- サノフィ=日医工=日医工サノフィ・アベンティス株式会社=サノフィが51%、日医工が49%出資
- あすか製薬=アクタビス(後発世界第6位)=あすかアクタビス製薬=あすか製薬55%、アクタビスが45%出資
- 陽進堂=味の素製薬=エイワイファーマ株式会社=陽進堂51%、味の素製薬49%出資