日本医療機能評価機構によると、名前が似ている事から薬剤を間違えた事例が2007年1月~2012年5月までに計20件あった事がわかった。このようなヒヤリ・ハット事例の発生は、明らかな人的ミスであり、今後のさらなる徹底がもとめられる。
実際に間違えた名称がこちら。「アルマール錠」(不整脈用剤)と「アマリール錠」(糖尿病用剤)が3件。「ノルバスク錠」(血管拡張剤)と「ノルバデックス錠」(腫瘍用薬)が3件。「チウラジール錠」(抗甲状腺ホルモン剤)と「チラーヂンS錠」(甲状腺ホルモン剤)が2件。
ノルバスク錠をノルバデックス錠と取り違えたケースでは、紹介状を読んだ医師が、PCで「ノルバ」と入力し、10mgを処方しようとしたところ、ノルバデックスの横に「10」と記載されていたためにノルバデックスを選択してしまった。それを見た薬剤師も、疑問を持ったものの医師には確認せず調剤してしまった。
このような名称によるミスが起こらないように「アルマール錠」は、今月1日に、アルマール錠5がアロチノロール塩酸塩錠5mg「DSP」に、アルマール錠10がアロチノロール塩酸塩錠10mg「DSP」へと変更された。
日本医療機能評価機構によると、医師によるカルテの入力ミスや、処方画面の確認ミス、薬剤師の取り違えで起こる事が多く、厚生労働省は08年12月、医療関係者同士が確認し合いうよう通知している。ヒヤリ・ハット事例を単なる人的ミスとして捉えるのではなく、組織、システムの欠陥だという認識のもと、改善に尽力してもらいたいものだ。