医薬品ネット販売訴訟 国が最高裁に上告 原告「納得できない」

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一般用医薬品のネット販売を大幅に規制した厚生労働省の省令は、改正薬事法違法に基づかない違法な判断だとして、ケンコーコム株式会社と有限会社ウェルネットの2社が販売継続の権利確認などを求めた訴訟で、東京高等裁判所(東京高裁)は4月26日、ネット販売を認める判決を下した。これに対し、厚労省は5月9日最高裁判所に不服とし上告、つづけて5月10日ケンコーコムは、「上告は大変意外。到底納得のいくものではない。」などとするコメントを発表した。

厚生労働省は、改正薬事法の施行に伴い、省令(平成21年厚生労働省令第10号)で、一般用医薬品「第1類」「第2類」については、ネット販売を禁止、対面販売のみとした。これに対し、2009年5月、医薬品ネット販売業者のケンコーコム株式会社と有限会社ウェルネットの2社が省令は違法だとして、行政訴訟を起こした。
一審の東京地方裁判所は2010年3月、原告側の敗訴。これを不服として2社が控訴。2012年4月26日の2審の東京高等裁判所は、一審判決を取り消し、「国民の権利を制限する規定で、違法」とし、ネット販売の権利を認めた。高裁は、改正薬事法の委任範囲を超えているものだと判断した。

これに対し、 厚生労働省は9日、最高裁判所へ上告した。その理由として「改正薬事法施行規則が改正薬事法の委任の範囲であるかという点について、地裁と高裁で判断が分かれている。委任の範囲を超えるとの東京高裁の法律判断が妥当とは言い難いといった問題があると考えて、最高裁の判断を仰ぐ必要があると判断した」とコメントしている。

厚生労働省の上告に対し、10日、原告であるケンコーコムは、以下のようにコメントしている。
「上告は大変意外で、到底納得のいくものではありません。2審において、薬事法の規定は、許可を有する薬局・店舗による郵便等販売を一律に禁止することまでを省令に委任してはいません。また、副作用の実証なく、医薬品のネット販売を禁止できないことも明言しています。官僚が裁量によって、恣意的に、しかも、副作用の実証的な根拠なく行うことは許されないことが明確に示された。この2審の厳正な司法による判決も省みない上告という判断に驚きと憤りを禁じ得ない。3年前にネット販売が禁止されて以降、当社は毎月2,000人以上のお客様からのご注文をお断りせざるを得ない状況が続いてきました。この上告でますます消費者の権利が害され、損害が発生し続けることは看過しがたい問題であると認識しております。わが国で一般用医薬品のインターネット販売の再開が
一日でも早く実現されることを強く要望いたします。」

また、上告とほぼ同時刻には、民主党議員からなる「一般用医薬品の通信販売解禁を推進する議員連盟」が記者会見をし、上告の断念と規制の早期撤廃を訴えている。

高齢者や近くに薬局のない住民にとって、ネット販売は非常に便利だ。しかし、副作用による薬害が起きると、甚大な被害が生じる。利便性と安全の両立は、非常に大きな問題だ。将来的なネット販売のルール作りが早急に求められている。

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