イレッサ訴訟 大阪2審原告敗訴 各方面に影響

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非小細胞肺癌治療薬のゲフィチニブ(商品名:イレッサ)の重大な副作用の危険を知りながら適切な対応を怠ったとして、患者と遺族計11人が国と輸入販売会社アストラゼネカ(大阪市)に対し計1億450万円の損害賠償を求めていたイレッサ訴訟で、大阪高等裁判所(渡辺安一裁判長)は5月25日、アストラゼネカのみに賠償を命じた第一審の大阪地方裁判所の判決を覆し、原告敗訴を言い渡した。国の責任も1審通り認めなかった。

「イレッサ」訴訟は、肺がん患者の「最後の命綱」として2002年7月、世界で初めて日本で承認されたが、販売後わずか半年で間質性肺炎によって180人が死亡、2年半で死者557人、現在延べ800人以上の死亡している肺がん治療薬「イレッサ」に対し、死亡する副作用があるという情報を医療機関向けの添付文書にしっかり表示し、注意喚起を十分行っていなかったのではないかが争点となっている裁判だ。

訴訟の判決はこれが4度目。2004年に遺族らは国と輸入販売会社アストラゼネカに対し、東京と大阪、それぞれで裁判を起こした。東京の1審では、2011年国と会社の責任を認めたものの、2審では、原告が敗訴した。大阪の1審では、2011年会社のみ責任を認めていた。東京高裁判決に続く原告敗訴となった。

今回の大阪高裁の判断によると、注意喚起に欠陥があったとはいえず、添付文書の不備はなく、記載を読み取れなかった医師の問題であるとしている。この敗訴により、遺族2人への1760万円の賠償支払い判決は退けられた。

しかし、国の指示で会社は緊急情報を出し、添付文書の副作用情報を目立つよう改訂した事で、死亡者は減ったことを考えると疑問は残る。イレッサは治療の有効性から今も使われている。

「イレッサ」問題を受け、国は添付文書のチェックを強化し、薬事行政を監視する第三者組織の設置を、今国会で法改正することを原告に約束していたが、かなり遅れているのが現状で原告側は憤りを感じざるをえない状態だ。

原告と弁護団は29日、大阪高裁の判決への抗議集会を衆院第二議員会館で開いた。弱者視点の欠如、行政への変革などが、国会議員らも巻き込んで交わされた。西日本弁護団の中島晃団長は、「弱者保護、被害者救済という方向性を取ってきたことで、日本の裁判所は国民の信頼を得てきたが、判決はそうした考え方を投げ捨てた点で許せない。最高裁で勝利を勝ち取るため、最後まで全力を尽くす」と述べた。

今回の判決においては、全日本民医連や全国保険医団体連合会など各団体も抗議声明を出している。薬の安全性を高める対策のみならず、患者への救済が実現しないのでは、患者や遺族の思いは報われないだろう。今後の裁判のゆくえに注目したい。

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